虫の知らせ(ショート・ショートを書いてみた⑪)
思い思いのお土産を抱えた家族連れが、吸い込まれるように改札口をすり抜けていく。虫の居所が悪い父親が、走り回る子ども達を𠮟りつけると、泣き虫の末っ子が奇声を上げる。お腹の虫が鳴りっぱなしのお兄ちゃんは、母親にお菓子をせがむ。いつもながらの休日の光景だ。
野村修也
2026.05.08
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時刻は19時45分。次の新幹線の出発が近いことを知らせるアナウンスが、無機質に、しかし確実に2人を引き裂こうとする。
「あと1時間だけ遅らせてくれないかな」
遠距離恋愛のカップルにとって、一緒に過ごした週末の別れほど辛いものはない。