晴れた日の雷(ショート・ショートを書いてみた⑩)
「ここに来るのは3年ぶりだね」
野村修也
2026.04.27
読者限定
カウンターから受け取ったトレーには、マグカップが2つ。それを持って、かつて毎日のように通い詰めた窓際の席に着いた。そこから見える公園には、様々な人の暮らしが見える。愛を語り合うカップル。ボール遊びをしている少年たち。看護師さんに押されて散歩する車いすの患者さん。弁当を広げるサラリーマン。一人スマホを眺めている女性‥‥。誰もが今を生きていた。
私は、一瞬だけ視線を落としてから、目の前で優しく微笑む彼に小さく笑みを返した。彼は保険代理店のオーナーで、店は公園の裏手にある。
私たちの出会いは大学時代にさかのぼる。同じゼミの仲間だったが、特に気になる存在ではなかった。5年前、突然「逢いたい」と呼び出され、真剣な顔つきで思いを告げられた。その時の衝撃を私は一生忘れない。それ以来、私たちの関係は大きく変わった。